で、このクエなんですけどね。行方不明になったNPCが巨大クモのすぐ脇にいるんですけど、「助けてください!」とか言いながらクモに殴りかかるわけなんですよ。
これが非常に鬱陶しい。
私の攻撃タイミングがずれるからやめて欲しいんですけど…w。かといって手を出さずにずっと殴らせていてもお互い被ダメージが1だから絶対終わらなさそうだし。アルビ脱出時に「こんな所にはいたくないから早く出よう」みたいな台詞を言うのですが、それを見る度に「キミが余計な事をしなければもっと早く出られるんですよ!」と悪態をつきたくなります^^;。
村人のすぐ脇には、クモがいた。私達が今まで見てきたものとは比べ物にならないほど大きい、巨大なクモが。
村人は私達に気がつくと大声で叫んだ。
「ああっ、助けに来てくれたのですか?」
そう言いながら目の前のクモに掴みかかり、殴りかかろうとしている。しかしその手は巨大クモに振り払われ、さらに前脚で薙ぎ払われて彼女は床に転がった。
「たっ、助けてください!」
そう言いながらも尚もクモに掴みかかろうとしている。
「…ねえ…。」
陽太がそっと私に囁きかけてきた。
「うん?」
「あの人さ…クモに手を出しているから殴られてるんじゃないのかな…?っていうか、助けて欲しいんだったらさっさと逃げてくればいいのに。」
「うん…。」
暫くその様子を眺めていた私達だったが、ふと最初の目的を思い出して彼女を助ける事にした。先程は私が大活躍したからと、今度は陽太が巨大クモに挑みかかることになった。彼は先程の私の動きをなぞるように、アタックとディフェンスで確実に巨大クモを追い込んでいった。しかしそこに村人が横から茶々を入れてくるので、アタックとディフェンスのタイミングが狂ってしまい、陽太はクモに弾き飛ばされてしまう。私が何度村人に離れるように言っても聞く耳もたずで、相変わらずクモに殴りかかろうとしている。今更気が付いたのだが、どうやらパニックを起こしているようだ。
私は荷物袋からまた赤いポーションを取り出すと、陽太がアタックでクモを弾き飛ばした瞬間を狙って素早く彼に近付き、目の前にポーションのビンを差し出した。彼がそれを受け取ったのを確認して、私は逃げるようにその場を離れた。そしていまだパニックに陥っている村人を後ろから羽交い絞めにして、なんとかクモから引き剥がした。
こうなればあとは持久戦になる。陽太はこの巨大クモとの戦闘で完全にアタックディフェンスのタイミングを掴んだようで、目に見えてミスが少なくなり、最後には完全に巨大クモを倒してしまった。
「すごいよ陽太、あんなに大きいクモを倒しちゃうなんて!」
思わず自分でもびっくりするくらいの大きな声で叫ぶと、彼は少し照れたように頭をかいた。
「水月が途中でポーションくれたからね。助かったよ。あれがなければちょっとやばかったかもね。」
それから二人で後ろを振り向くと、村人の女性はまだ少し怯えている様子を見せていた。
「クモが…クモが…。」
「大丈夫ですよ、ほら、クモは僕達が退治しましたから。ここから出ましょう。」
私達はまだパニックから抜けきらない彼女を連れて部屋の奥に据え付けてある女神像の元へ行き、それに触れた。途端に一瞬体が軽くなり、気がついたら入り口のロビーに私達3人は転送されていた。
トレボーさんの元に辿り着く頃には、女性のパニックもようやく収まっていた。
「よし、お疲れさんッ!どうだアルビダンジョンは、大変だったか?まあこれから精進していけば、この程度のダンジョンは軽く突破できるようになるからな。頑張るんだぞ!」
周囲の空気が崩れんばかりの彼の大声を背に、私と陽太は村の中心部に向かって歩き始めた。女性はあとでトレボーさんが護衛して家まで連れていく事になったので、安心して任せる事にした。
「ふう。」
陽太が大きく深呼吸をした。私もそれに倣って深呼吸してみる。パララが山の向こうに沈もうとしている。空全体が赤と青のグラデーションを作り出し、その色の対比がとても鮮やかだった。
「今日は大変だったねえ。でも、これはこれで楽しかったかな。水月はどうだった?」
突然話を振られて私は一瞬口ごもった。私は先程の巨大クモとの戦闘で、何かを感じていた。うまくは言えないが、何か考えなければいけないことがあった。
「えっと…あのね。」
確かにショートソードを振り回して彼と一緒に戦闘するのは、一人で戦うよりも数段心強かった。しかし、私は剣を振るのとは違う戦闘術を模索したかった。自分も矢面に立って二人で道を切り開くのではなく、誰かが道を切り開くのをサポートする為の戦闘術。それを模索したかった。
「私…魔法を習ってみたい。」
「え、魔法?」
「うん、魔法。どうすれば習えるんだろう…。」
「う~ん…僕もまだここに来たばかりだからなあ…。」
するとアイリが唐突に目の前に現れた。その目にはなぜか既に諦めの色が宿っている。私に何かを言おうとしたがどうせ聞き入れてはくれないだろう、そんな表情だ。
「一応忠告はしますけど…。」
私が想像した通りの台詞がアイリの口から洩れ出てきた。
「魔法を習うのもそして使うのにもそれなりのお金がかかりますよ?それを覚悟の上なら、明日の朝にでも学校に行ってみてください。ラサ先生が魔法の基本を教えてくれる筈です。」
「そう…ありがとう、アイリ。」
私が礼を言うと彼女はにこりと笑ってショートソードの中に消えていった。
「よし、それじゃあ明日から水月は学校か。僕は…そうだな、僕も学校で戦闘の指南でも受けようかなあ。」
パララが完全に沈んで、東の空からイウェカが顔を覗かせてくる。遠く崖の下では、私達がここにやってくる時に通ったムーンゲートが青白い光を放っていた。
- 2009/06/18(木) 22:35:10|
- マビノギプレイ日記
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| コメント:2
村人は確かに邪魔ですね…w
なので、村人が蜘蛛に近づく前に、スマとかで無理やり遠くにやってから、一人で倒します…w
水月さんは、魔法の道に…
魔法の道は、初心者にとって茨の道で…なれてからは、お金に泣く道ですね…w
- URL |
- 2009/06/19(金) 00:45:24 |
- 音無 闇 #-
- [ 編集]
なるほどね~。
とにかくもうね、「手を出さんでいい!」って叫びたくなってきますよw。
私はホントに初心者のころ貧乏で、レイナルド先生の講義ですらお金の捻出に苦労したような記憶が…w。
必然的に、水月も貧乏人の道を歩むことになるのかも。
- URL |
- 2009/06/19(金) 02:12:30 |
- くれは(管理人) #j1AZRJNg
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